暦年課税制度の見直し

先日、「令和4年度税制改正大綱」が発表されました。かねてから「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点」の改正が注目されていましたが、

今年度は盛り込まれませんでした。

昨年の「令和3年度税制改正大綱」「暦年課税」制度見直しの明記があり、今年度に盛り込まれるのではと各方面で話題となっていました。

内容としましては「令和3年度税制改正大綱」「基本的考え方」にて、諸外国の制度を参考にしつつ、「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点」から、

現行の贈与税の課税制度のあり方を見直すなど、「本格的な検討を進める」と明記されたことです。


今回の「令和4年度税制改正大綱」には盛り込まれなかったようですが、「暦年課税」制度見直しの考え方は続いているようで

「令和4年度大綱」の前半に掲げられる「基本的考え方」「相続税・贈与税のあり方」の結論部分は、以下のように述べています。

今後、諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年贈与制度の在り方を見直すなど、

格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。


この表現は、昨年の「令和3年度税制改正大綱」と同じです。

また、「令和4年度大綱」「基本的考え方」には、「高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、

格差の固定化につがりかねない」などの表現がが追加されています。

政府としては「暦年課税」制度見直し、本格的に検討を進めたいという意識は変わっていないようです。

そして「令和4年度大綱」「基本的考え方」の末尾には、昨年の大綱にはなかった、以下の文章が加わっています。


あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家庭内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度と

なっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。


これについては、高齢者から消費意欲が高い若年層への資産移転についての非課税措置の適用期限を迎え、教育や結婚・子育て資金の贈与について影響が出てきそうです。

これまでの贈与のやり方と違う取り組みをしていく事が今後、重要になりそうです。

税制の非課税措置は時限立法が多いので、その時の状況を踏まえて対策をする必要があります。

そのため贈与を検討されている方は5年後、10年後に今と同じ取り組みでの贈与方法では通用しないと考えておいた方が良く、

現行の非課税措置を取りたい方は現法の期限内に検討し、お手続きして頂くことをおすすめします。