分割協議のトラブルの解決

分割協議でトラブル発生

先日、分割協議の相談でAさんとお母さんがご相談に来社頂きました。

相談人Aさんは3人兄弟の真ん中の長女様で兄と弟がいらっしゃるとのことです。

今回、お父様がお亡くなりになられ、お母さんと3人兄弟が法定相続人になられるとの事です。

お父さんは遺言を残しておりません。

この度の相続のお手続きの中で、資産の分配についてのご相談を受けました。

通常であれば総資産のヒアリングを行い、金融資産・不動産資産、保険金等の資産評価を出し、法定相続割合を基に

財産分与の微調整を行う事になります。

しかしながら今回は兄弟間に財産分与の割合について認識のずれがあるという事でした。

まず長男様は関東に家族で住んでいる為、ほとんど実家に帰って来ておらず(2~3年に1回)、親の世話は妹任せ。

次男様は近隣の県に家族で住んでおり、自宅を建てる時に親から援助を受けており、たまに(年2回)実家に来るぐらい。

長女のA様は大阪で実家の近くに住んでおり長年に渡ってお父さんとお母さんの病院への通院やお父さんの入院の際のお見舞い通いをしており、

実家の買い物など両親の世話周りをしてきました。


長男様の考えは自宅はお母さま一人で住むには大きすぎるし、自宅も含め不動産を処分し、その他財産も現金化し、法定相続分で分けるのが良い、

次男に援助した自宅の費用の贈与は相続財産に含まなくて良いという考えです。

次男様は自宅の援助分を差し引いてもらってあとはお兄さんと同様に法定相続割合で現金を分けたら良いという考えです。

Aさんは仏壇もあるので実家をそのままにしてお母さんを住まわせて、行く行くは実家に同居しようかと考えています。
お母さんの意向としてはお父さんの世話もしてもらい自分も死ぬまで娘に面倒をかけることになるので娘に財産の多くを譲りたいというお考えのようです。

今までの娘の親に対する行動と長男・次男との行動を見て同じ財産分与はではおかしいということを言われました。

確かに親御様からすれば一番世話になった子供に財産を多く与えたいという気持ちは分かります。

しかしながら遺言がないので通常は法定相続分で財産分与するのが普通ですが、感情的に考えるとAさんやお母さんの言い分も分かります。

弊社が財産分析を

弊社としては依頼人の考えを尊重するにはいかに自宅を売却せずに法定相続割合に近づけるかが重要に思いましたので

まずは自宅の不動産の財産評価と小規模宅地の特例を使った場合の不動産評価額を算出しました。

土地の実勢価格は6500万円程度ですが路線価計算での評価額は5000万円となります。

小規模宅地の特例を利用することで自宅の評価は8割減額出来ますので相続税申告時の土地の申告額は1000万円になります。


当初は不動産と不動産以外の財産で合わせて1億4200万円の財産評価額でしたが生命保険金の控除2000万円等も利用し、8800万円まで評価額を下げることが出来ました。

不動産については実勢価格は8500万円程度でしたので建物も含め2200万円まで評価を下げることになります。

財産分割のご提案

財産分析と分割案のシミュレーションを行い、相続税の凡その価額を算出し、皆様に提案をさせて頂きました。

分割案としては相続税の支払いや現金を必要とする為、現預金関係の多くは長男・次男にこのまま実家に住むことと生活費の為に不動産や生命保険金はお母さんと長女にと

言う分け方を提案したところ皆様にある程度、ご理解を頂くことが出来ました。

ご依頼人は実家にこのままお母さんを住まわすことが出来たことと相続財産の価額を下げることが出来て満足して頂くことが出来ました。

また、親子間と兄弟間とでの考え方や財産分割について整理して提案書を作成してもらったことで、お互いが相続について理解することが出来たので

揉め事に発展しなくて良かったとおっしゃって頂けました。